目次
妊活で重要な“基礎体温”とは
妊活中は、体調の推移や変化を正しく把握するために基礎体温を測定する必要があります。
ここからは、基礎体温が普通の体温と違う点や、高温期と風邪の見極め方についてみていきましょう。
普通の体温とは何が違う?
基礎体温は、日中に測る一般的な体温とは、測定するタイミングや目的が異なります。
毎朝(できれば決まった時間に)目覚めた直後、体を動かさずに測定します。
普通の体温は、日中の活動中や活動後のように、一定の活動のもとで測ることが多いため、食事・運動・ストレスなどの影響を受けます。
高温期と風邪の見極め方
女性の体温はホルモンの影響を受けるため、「高温期」と「低温期」に分けられます。
この高温期と風邪による発熱は混同しやすいため、妊活中の方は見極めに注意が必要です。
排卵後に黄体ホルモンが活発になると、高温期がやってきます。
体温は0.3〜0.5℃ほど、緩やかに上昇します。
風邪による発熱はウイルスの影響により、急激な体温上昇が特徴です。
わずかな時間で1℃以上上昇することもあり、平熱よりも高い(37.5℃以上)体温になるケースが一般的です。
妊活中に基礎体温を測ったほうがよいのはなぜ?
妊活中に基礎体温を測ることは、妊娠の可能性を見極めるために役立ちます。
基礎体温は、睡眠中のように体が安静な状態になっているときの体温で、ホルモンバランスや排卵の有無、妊娠の兆候を把握する指標です。
体温が変化し、低温期と高温期の2つに分かれる「二相性」がみられる場合、排卵が適切に行われていると考えられます。
基礎体温から排卵日を確認できると、妊娠しやすい排卵期の特定に役立ちます。
毎月大まかな排卵日をチェックすることで、翌月の排卵日も予測できるようになるため、排卵日の前後に性交渉のタイミングを合わせるなどして、妊娠の確率を高められるでしょう。
基礎体温をつけると、体のリズムや体調の変化にも気づきやすくなります。
高温期が短いと黄体機能不全、反対に体温の上がり方が緩やか、二相に分かれないといった場合は無排卵やホルモンバランスの異常が疑われることがあります。
いずれも妊娠を妨げる要因のため、早期に兆候を把握して医療機関へ相談し、治療に結びつけることができるのです。
基礎体温は、妊娠の初期兆候を示すケースもあります。
一般的に高温期は約2週間続いてから体温が下がって月経が開始しますが、妊娠すると17日以上継続します。
このような通常とは異なる変化を基礎体温表で確認することで、妊娠の可能性に早く気づくことができます。
基礎体温の測定は、妊娠しやすい時期や身体のコンディション、妊娠の初期サインの把握や不妊症の原因の推測にも役立ちます。
妊活はもちろんのこと、自身の健康状態をチェックするためにも重要ですし、目に見えない身体のサインや変化を「見える化」できるツールといえるでしょう。
基礎体温でわかること
基礎体温からは、「月経の周期」「排卵の有無」「妊娠しやすい時期」「妊娠の可能性」「不妊の原因」がチェックできます。
それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。
月経の周期
基礎体温を測定して記録すると、月経の周期が把握できます。
正常な月経周期は約25〜38日で、多くの方はこの周期内で月経を繰り返します。
周期は低温期と高温期に分かれ、月経開始から排卵までは「低温期」排卵後から次の月経までが「高温期」です。
低温期と高温期が一定的なリズムで繰り返されれば、規則的な周期であり月経自体に問題はないことがわかります。
一方、体温の上下が乱れていたり、途中で月経が止まってしまったりする場合、ホルモンバランスの乱れやその他の兆候が疑われるため、医療機関への受診が推奨されます。
なかには無排卵のように妊娠が難しいケースも含まれるため、月経が正しいサイクルで繰り返されているかを知ることが重要です。
月経は体調管理の目安にもなるため、基礎体温でチェックを行ってみてください。
排卵の有無
基礎体温のグラフをチェックすることで、排卵の有無も確認できます。
排卵が起こると、女性の体内では黄体ホルモンの影響によって体温が上昇し、高温期に移行します。
基礎体温を記録していると、体温が急激に上昇することがありますが、このタイミングが排卵の目安です。
高温期は約12〜16日続き、その後体温が下がって月経が始まります。
排卵がない(無排卵)場合は、体温の二相性(低温期と高温期の区別)がなく、平坦なグラフになります。
無排卵はホルモン異常や過度のダイエットなど、さまざまな原因によって発生する症状です。
健康状態の低下や妊活の妨げになる可能性がありますが、排卵の有無を継続的に観察することで、早期発見・早期対処が可能です。
妊娠しやすい時期
基礎体温の記録と観察によって、次の排卵日を推定しやすくなります。
排卵日は体温が急激に上がるタイミングで、排卵日の前後の数日がもっとも妊娠しやすい「排卵期」にあたります。
排卵日の2日前〜当日までは非常に妊娠しやすい時期です。
基礎体温のグラフでは、低温期が終わりに差し掛かると体温が下がり、翌日から高温期に入るケースが多いため、体温が下がったタイミングが排卵日と考えられます。
変化を何週か記録することで、排卵の傾向がわかります。
排卵期に合わせて性交渉のタイミングをとることで、妊娠の確率を高めることが期待できます。
妊娠の可能性
基礎体温を測定していると、妊娠の兆候に気づくことがあります。
排卵後に高温期が続いたあと、一般的には12〜16日程度で体温が下がって月経が始まります。
妊娠すると、黄体ホルモンの分泌が継続するため、高温期が17日以上続きます。
基礎体温グラフのうち、高温期にガタつきがなく安定している場合も妊娠の可能性が期待できます。
ただし、正確な妊娠可能性の確認には妊娠検査薬や医師の診断が必要です。
不妊の原因
基礎体温の記録は、健康状態や妊娠の可能性以外に不妊の原因を探る手がかりにもなります。
周期が短い(長い)、体温が不規則といった変化も、不妊に関連している可能性があります。
排卵が起こらない「無排卵周期」や、高温期が短い「黄体機能不全」、体温の二相性が不明瞭な場合は、ホルモンバランスの乱れが懸念される症状です。
不妊の原因を知るためにも、基礎体温の記録は重要です。
パターンを把握することで、医師による検査や治療がスムーズになり、早期の対応が可能になります。
妊娠に備えて習慣化したい!基礎体温の測り方
次に、妊娠に備えて習慣化したい基礎体温の測り方をみていきましょう。
ステップ①起床後、寝たままの状態で測定する
基礎体温は、もっとも安静な状態で測ることによって、ホルモンの変化を捉えられます。
毎朝、目覚めたときに寝たままの状態で、リラックスして測定しましょう。
急に起き上がったりトイレに行ったりすると体温が上がってしまい、正確な基礎体温ではなくなってしまうため注意が必要です。
目覚めた直後に寝たまま測定する習慣に加えて、できるだけ同じ時間(理想は起床後10分以内)に測定しましょう。
仮眠や昼寝のように睡眠時間が短くなるときや、途中で何らかの原因で目覚めたときでも、安静な状態が4、5時間以上あれば測定可能です。
ステップ②体温計を舌下のつけ根に差し込んで口を閉じる
基礎体温は体の内部に近い場所で測定すると精度が高まるため、舌下(舌の裏側)での測定が適しています。
舌の裏側、中央にある「舌小帯(ぜっしょうたい)」のあたりに体温計の先端を当てて、口を閉じます。
体温を上げないために、口を開けての口呼吸や人との会話を止めて、安静な状態で測定しましょう。
基礎体温の測定には、市販の一般的な体温計ではなく「婦人体温計」を使用します。
婦人体温計は、通常の体温計よりも細かい小数点第2位まで測定できる計測器です。
電子体温計には、演算処理によって数分後の体温を予測する「予測式」と、測定値をダイレクトに表示する「実測式」の2種類があります。
正確なデータを得るためには、実測式を選ぶと良いでしょう。
ステップ③基礎体温表に測定結果を記入する
最後に、得られた結果を基礎体温表に記入します。
毎回決まった時間に決まった方法・姿勢をとって測定することがポイントです。
妊活中に必要な基礎体温表で注目する箇所は?
妊活中、基礎体温表を作成しながら注目する箇所を確認していきましょう。
項目 |
注目するポイント |
二相性 |
排卵が正しく行われていることを確認する |
高温期の期間 |
正常なプロセスで排卵に至っているか確認する |
月経周期 |
卵巣機能の状態やその他の婦人科系疾患の兆候などを確認する |
妊娠のために排卵が正しく行われているか、正常なプロセスで排卵に至っているかを確認することに加えて、月経周期が極端に短く(長く)なっていないかも確認しなければなりません。
月経周期が短いと、卵巣機能の低下やそれ以外の問題が隠れている可能性があるため、病院の受診を検討する指標になります。
基礎体温を活用して妊娠の可能性を高めるポイント
基礎体温のチェックと分析に「タイミング法」と呼ばれる方法を組み合わせると、妊活を効率的に進められます。
タイミング法を実践しても妊娠しない場合は、基礎体温表をチェックし、排卵障害や子宮の状態・機能に問題がないかを確認する手がかりになります。
不妊の原因をご自身で確認できるだけでなく、医師への相談にも役立ちます。
注意点として、1回だけの測定では正確な判断は難しいため、毎日の計測を習慣化して数ヶ月程度継続しましょう。
記録内容はグラフ化し、体温の変化をグラフで確認しながら分析します。
排卵の規則性や月経周期、高温期の持続日数がわかれば、自然妊娠の可能性を把握しやすくなります。
自己判断だけに頼ることは難しいですが、必要に応じて医療機関を受診しながら、医師との連携のもとで妊活を進めることができます。
妊活には基礎体温の測定と記録が重要
今回は、妊活に基礎体温の測定と記録が妊活に役立つ理由を解説しました。
体温は身体のリズムやバランスを見る指標のひとつです。
活動中はもちろん、安静にしている状態でも体温は常に変動するため、継続的に記録していくと、月経や子宮の状態、ホルモンバランスなどが確認しやすくなります。
これから妊活にチャレンジする予定の方や不妊にお悩みの方は、ぜひ基礎体温のチェックを習慣にし、必要に応じて医療機関と連携しながら妊活を進めましょう。