不妊治療を考える際、依頼者様の不安を解消できるかどうかは、初回の面談がカギを握っています。
安心・安全なサービスを受けたいのであれば、サービス提供者側との信頼関係が欠かせません。
今回は、『こうのとりあしながプロジェクト』運営責任者が、不妊治療の面談で大切にしていること、依頼者様に面談で確認しておいてほしいことを語ります。
目次
インタビュアーの紹介
I LOVE BABY 代表
不妊治療に踏み出す依頼者様との面談で聞いていること
簡単にこれまでの経歴をお伺いできますか?
私の経歴はかなり特殊なのですが、大学卒業後28歳までプロダンサー、32~40歳まで自分のバーを経営していました。
バー時代にご縁のあった方から、「こういう活動をしてみませんか?」とお声がけいただいたことをきっかけに、貢献活動へ足を踏み入れたのが始まりです。
2020年4月にI LOVE BABYとして『こうのとりあしながプロジェクト』を立ち上げ、2023年2月の法人化を経て、今に至ります。
もともと、ご縁があったものには、全力で取り組みたいと考える性格でして、これまでの経歴も、すべてご縁を紡いできた結果だと思っています。
そのご縁によって発足できた『こうのとりあしながプロジェクト』のサービスを通じて、人のためになる貢献活動を続けていきます。
依頼者様からお問い合わせいただいたあと、面談に至るまでの流れを教えてください
依頼者様からのメールを拝見したあと、すぐに面談の日程を取り決めさせていただきます。
早い方であれば次の日に面談するケースもありますが、基本的にはお問い合わせいただいてから、1~2週間後に面談を実施していますね。
面談では、依頼者様の都合のよい場所に、私が直接お伺いしています。
オンラインの対応も可能ですが、やはり直接お会いしたほうがお互いの感情や言葉がスムーズに伝わるので、依頼者様の希望がない限りはご訪問することがほとんどです。
北は北海道から南は沖縄県まで、ご希望の場所には必ず足を運んでおりますし、海外出張のご相談にも応じています。
不妊治療は、人生に関わる問題ですから、その分岐点の選択にあたって、直接お伺いすることで、私どもの真剣さが少しでも伝わるといいなと思っています。
依頼者様との面談は運営責任者様ご自身が必ず行われているのでしょうか?
はい、そうですね。
私は一人でお伺いしておりますが、依頼者様には必ず同伴者様とご同席いただくようにお願いしております。
そのほうが、依頼者様も安心できますし、いろんな視点での質問をいただけるので、依頼者様側の人数は多いほどよいと思っています。
多いときだと、5~6名同席していただいたこともありましたね。
依頼者様との面談では、どのようなことを聞かれるのでしょうか?
必ず確認していることは、お子さまがお生まれになったあとの、精神的な面・収入面での問題が発生しそうかどうかです。
私どものサービスにご相談いただく依頼者様の多くは「自分一人の手で育てよう!」とお考えです。
そのお気持ちは非常に大切なのですが、お子さまがお生まれになったあと、すべて自分一人でやらなければならない、と考えてしまうと子育てはかなり困難になります。
私も現在子育てをしていますが、近くに頼れる存在がいるかどうかは、とても大きいと感じています。
必ずしも頼る必要はないんです。
子育てが大変になったときに周囲に頼れる方がいる、と思える状態が大切だと思うのです。
もちろん、こういった精神面だけではなく、子育てにはお金がかかります。
国や地方自治体からの手当てもありますが、実際問題、収入が少ないと、いつ生活が破綻するかと、ストレスになるでしょう。
お子さまのためにお金をかけたいと思っても、それができない現実に苦しまないためにも、面談の時点で収入面の確認もさせていただいております。
依頼者様との面談時には、どのようなことを意識されているのでしょうか?
私の完全なる主観になってしまいますが、大前提として「依頼者様の真剣さが伝わってくるかどうか」に尽きますね。
特に若い方は、すぐにでもお子さまが欲しいという気持ちから、前のめりになりすぎてしまうことがあるんです。
面談時に「依頼を決めます」とご即答いただくことも多いのですが、私は面談時には答えをいただかないようにしています。
不妊治療に対して、一番理解している私が面談で話すと、依頼者様にはすべてよく聞こえてしまうからです。
お子さまを授かって新しい人生をスタートさせるという本来のお気持ちのはずが、お子さまを授かるのが目的になってしまいかねません。
そのため、面談後は必ず答えを持ち帰って、一度冷静になって考えるか、あるいはパートナーの方と話し合ってのご決断をお願いしております。
個人や他ボランティア団体と比べて、面談に違いはありますか?
私どもの面談で大事にしているのは、先ほども申し上げたように依頼者様側に複数人で参加してもらうことです。
ほかのサービス提供者が、どのような面談をされているのかは、正直わかりませんが、おそらく1対1の面談が多いのではないかなと思います。
もし、依頼者様が女性の場合、1対1の面談では不安に感じることも多いはずです。
面談にはできる限り複数人で参加したうえで、怪しい部分や違和感があるのであれば、必ず聞いてください。
結局、面談でそういった違和感を覚えさせてしまっているのは、サービス提供者、要は私たち側が悪いんです。
私たちは、依頼者様を不安にさせることがないよう、改善策を常に考えています。
面談前に気になることは書き出して、不安なく不妊治療を始めてほしい
依頼者様側が面談で確認しておくべきことはありますか?
面談で必ず確認してほしいのは、精子提供の方法です。
まれに、「タイミング法のほうが、自然に近いからお子さまが授かる確率が高い」と伝える方がいますが、これははっきりと言って嘘です。
体外受精であろうが、タイミング法であろうが、妊娠率は体質や状況によって変わります。
すべてにおいてタイミング法がよい、なんてことは絶対にありません。
タイミング法をすべて否定しているわけではなく、不妊治療での妊娠を求めている方に対して、タイミング法を勧めるのが間違っている、ということです。
依頼者様が希望されているのであれば、タイミング法も否定しません。
しかし、体外受精や人工授精などの専門的な施術での精子提供をご希望であれば、個人の方だとサポートしきれないのではないかと考えています。
不妊治療において大変なのは、サービス提供者ではなく、依頼者様です。
信頼できるサービスを探すには、サービス提供者側の過去の実績や、どのようなドナーがいるのかも同様に確認してほしいですね。
面談になると緊張して頭が真っ白になることもあるので、気になる点は事前に紙に書き出してまとめておくといいですよ。
ただ、私どもと同じようなサービスを提供している団体、あるいは個人の方には、Webサイトがないところが多いんです。
そうなると、実績やドナーの確認のしようがありません。
Webサイトがあるから信用に値するわけではありませんが、Webサイトがあるのは作成や運営に費用をかけている証なので、サービスに対する真剣度合いはある程度伝わるんじゃないかなと思っています。
依頼先を探される場合は、Webサイトの有無だけでなく、数は少ないですが法人化しているところを選ぶのが賢明だと思います。
依頼者様はカウンセラーのどのようなポイントを見ればよいでしょうか?
このサービスに真剣に取り組んでいるカウンセラーであれば、今後の進め方を相談された際、具体的な動き方を説明してくれるはずです。
この時点の説明があいまいであれば、その活動に慣れていないか、あるいは活動中と偽って活動していない可能性があります。
カウンセラーは、やはりある程度の専門知識が必要になりますが、それを依頼者様が聞いても理解できなければ意味がありません。
AMH数やHCG、卵管造影検査など、真剣に活動されているのであれば、誰でもわかる言葉のはずなんです。
たとえば、体外受精において、どういうクリニックを紹介しているのか説明できなかったり、すぐに名前が出てこなかったりする場合、怪しいと言わざるを得ません。
依頼者様が女性の場合、ある程度前提条件として知っているはずの単語を出してみて、反応を確認したうえで判断するのも一つの手です。
『こうのとりあしながプロジェクト』が、臆することなく不妊治療に踏み出せるきっかけとなるように
現在不妊治療を始めるか悩まれている方に向けてメッセージをお願いします
「子どもを授かりたい」という気持ちが固まっているのであれば、すぐに行動を起こすべきです。
20代であろうと30代であろうと、誰しも今が一番若いのです。
皆さんが想像しているより、はるかに早く加齢に対するAMH数は低くなります。
業者を通していつでも相談できる、力を貸してもらえるかもしれないと思えるのは、一つの希望であり、さまざまな問題に前向きになれるかもしれません。
一歩を踏み出すのは勇気がいることかもしれませんが、相談できる場所があることを忘れないようにしていただけたらと思います。
勇気を出したその先に『こうのとりあしながプロジェクト』とのご縁をいただけたら、誠心誠意サポートさせていただきます。