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同性カップルが子どもを迎える方法とは?人工受精などの治療方法を解説

同性カップルが子どもを迎える方法には、人工授精や体外受精などの生殖医療のほか、養子縁組や里親制度など複数の選択肢があります。

利用できる制度や治療内容は国や医療機関によって異なるため、法律面・費用面を整理し、専門家に相談することが欠かせません。

この記事では、同性カップルが子どもを迎えるための選択肢や、不妊治療を受ける際のポイント、心構えについて紹介します。

同性カップルは不妊治療を受けられる?

同性カップルが不妊治療を受けられるかどうかは、国・地域・医療機関により異なります。

日本では法律上の夫婦を対象とした生殖医療が中心であったため、同性カップルの不妊治療は難しいとされてきました。
しかし近年では、家族のあり方や多様性を尊重する社会的な動きにより、地方自治体や医療機関が同性カップルへの対応を見直しつつあります。

特に、女性同士のカップルについては、人工授精や体外受精、顕微授精などの生殖医療を提供する医療機関が増えています。
一方、男性同士のカップルは妊娠・出産ができないため、不妊治療ではなく代理出産が現実的な選択肢です。

同性カップルが子どもを授かるために治療を受ける場合は、医療倫理や医療機関の規定・判断によるため、事前に受け入れの可否や治療内容を確認することが重要です。
子どもを迎えるためにかかる費用、必要書類や法律上の親子関係の成立といった治療以外の課題についても熟知しておく必要があります。
検討段階から、専門家や医療機関、経験者のサポートを受けることが大切です。

同性カップルが子どもを授かるための選択肢

同性カップルが子どもを授かるための選択肢には、人工授精・体外受精・顕微授精などの生殖医療のほか、養子縁組や子連れ再婚、里親が挙げられます。

人工授精

人工授精は、妊娠を希望する同性カップルに適した生殖補助医療です。

排卵の時期に精子を子宮内へ注入し、自然妊娠を目指して受精させます。
女性同士のカップルは、精子をどのように確保するかが課題となります。

考えられる選択肢として、「知人に精子提供を依頼する方法」と「精子バンクを利用する方法」の2つが挙げられますが、日本国内の精子バンクは法律婚を経た異性夫婦のみを対象としているため、同性カップルは利用できません。

人工授精の利用者は知人ドナーを選ぶケースが多くみられますが、生まれてきた子どもの親権問題や法的リスクを考慮する必要があります。

AIH

AIH(Artificial Insemination of Husband:配偶者間人工授精)は、夫である男性の精子を用いて行われる人工授精です。
女性同士のカップルは法律上の配偶者と認められないケースが多く、どちらか片方が男性で、肉体に精子が存在しない場合、AIHの利用は実質的に難しくなります。

国や地域、またはパートナーシップ制度を導入している医療機関によっては、柔軟な対応が受けられる例も存在します。
しかし、日本国内でAIHに該当する治療を同性カップルが受けられるケースはまだ多くないため注意が必要です。

AID

AID(Artificial Insemination by Donor:提供精子による人工授精)は、夫以外の第三者ドナーから提供された精子を用いて行う人工授精です。

同性カップルが利用する人工授精は、基本的にこのAIDに該当します。
第三者ドナーの選択肢としては、「知り合いの男性に精子提供を依頼する」「海外の精子バンクから提供を受ける」といった方法が多くみられます。

注意点として、日本の精子バンクは法律婚を行った夫婦が対象のため、同性カップルは国内機関では治療を受けられません。(※)

一方、海外の精子バンクでは、遺伝的情報や提供者のプロフィールを選び、安心して利用できる利点があります。
ただし、海外精子を取り扱う日本の医療機関は限られており、費用が高額になる傾向があります。

知人ドナーを選択する場合は心理的負担や法的な問題を避けるため、契約書の作成や医療機関を介した提供を検討することが重要です。

※参照元:国民民主党「特定生殖補助医療法案に関する法律案の概要」

体外受精(IVF)

体外受精(In Vitro Fertilization:IVF)は、卵子と精子を体外で受精させてから子宮に戻す方法です。

女性同士のカップルは、精子の提供者を確保することで、人工授精と同様に治療を進めることができます。
カップルのうち、妊娠・出産を担う方に排卵誘発剤を使用して複数の卵子を採取し、提供された精子と受精させて、胚(受精卵)になった段階で子宮に戻します。

体外受精の利点は、受精の状態を医師などの専門家が管理し、受精障害があっても対応しやすく、受精卵の質を確認できることです。
カップルのうち一人が卵子の提供者となり、もう片方が妊娠・出産を担当する「相互体外受精(ROPA法)」にも応用できます。

ただし、国内では同性カップルへの生殖医療やそれに対する法整備が追いついていないため、ROPA法を行える医療機関は限られています。
費用も高額になり、採卵の際の身体的負担も少なくないため、事前に医師と相談しながら進めることが大切です。

顕微授精(ICSI)

顕微授精は「卵細胞質内精子注入法(Intracytoplasmic Sperm Injection:ICSI)」と呼ばれ、精子のトラブルや数が少ないなどの問題で受精が難しい場合でも、受精を成立させられる体外受精の一種です。
顕微鏡下で精子を直接卵子に注入し、人工的に受精と妊娠を促します。

女性同士のカップルでは、提供された精子の質が低い、または精子数が少ないドナーから精子提供を受ける際にこの方法を選択することがあります。
また、人工授精で妊娠に至らなかったケースでも、顕微授精によって妊娠の可能性が高まる可能性があることから、確実に子どもを授かりたい同性カップルにとっては重要な選択肢のひとつです。

受精率が高い反面、費用が高額になる傾向にあり、卵子への負担も考慮しなければならないため、医療機関との十分な話し合いが不可欠です。

普通養子縁組・特別養子縁組

生殖医療以外の選択肢として挙げられる方法が、2種類の養子縁組です。

普通養子縁組は、子どもが実親との法的なつながりを保ちながら、養親とも親子関係を結ぶ制度で、特別養子縁組より柔軟に利用できます。
特別養子縁組は、子どもが実の親との法的な親子関係を完全に切り、育ての親のみが法的な親となる制度で、子どもの福祉を優先する仕組みです。

同性カップルでも単身であれば養子縁組が行えるため、「カップルの片方が単独で養親となり、もう片方が事実上の親として育てる」という形を選択するケースがみられます。
血縁にこだわらず家庭に子どもを迎えたいカップルにとって、家庭を築く選択肢のひとつです。

子連れ再婚

子連れ再婚は、同性カップルの片方が以前のパートナーとの間に授かった子どもを連れたまま、新しい同性パートナーと家族を形成する方法です。

この場合、血縁関係があるのはカップルの片方のみですが、子育てや養育の責任を分担することで、安定的な家族を築くことができます。
ただし、法的には実親と認められた方だけが親であり、そのパートナーは親と認められないことが多く、学校や医療機関での手続きに不便が生じる場合があります。

里親

里親制度は、実親の家庭で養育を受けることが難しい子どもを、一定期間または長期にわたって育てる制度です。

特別養子縁組のように親権が生じるものではありませんが、家庭での生活を通じて子どもに安定した養育環境を提供でき、同性カップルも自治体によっては里親に登録できます。
里親の期間は短期〜長期、養育里親や専門里親など複数の種類があり、カップルの生活状況や希望に応じて選択できます。
ただし、同性カップルの里親登録については地域差があるため、事前によく確認を行ってから登録の申込みを行うことが大切です。

同性カップル(女性同士)の治療過程

女性同士の同性カップルが不妊治療を受ける場合は、はじめに医療機関の選定を行います。
日本では法律上の夫婦以外への治療を制限している病院もあるため、受け入れ実績がある医療機関を探しましょう。

医療機関が見つかったら、初診時に双方の健康状態やホルモンバランス、卵巣や子宮の状態を検査し、妊娠が可能なパートナーを決定します。
次に、使用する精子のドナーを選定するため、国内外のバンクや知人から精子を入手し、感染症や遺伝性疾患の検査を行って、結果を確認します。

ドナーが決定すると、IUI(人工授精)やIVF(体外受精)といった治療方法を選びますが、治療前に法的・心理的サポートを受けながら進めていくのが一般的です。
親子関係の法的課題や出産後の手続きについても説明を受け、納得したうえで治療に入ります。

人工授精の手順

人工授精は、比較的身体への負担が少なく、自然妊娠に近い形で妊娠を目指せる方法です。

月経周期に合わせて排卵日を医師が予測し、超音波検査やホルモン検査で排卵タイミングを特定します。
使用する精子を事前に準備し、運動性の高い精子のみを選別しておきます。

排卵が近づいたタイミングで、細いカテーテルを使って精子を子宮内に注入します。
処置は数分で終わり、痛みもほとんどなく終了します。

数日程度通常の生活を送り、必要に応じてホルモンの補充などのサポートを受けます。
約2週間後に妊娠判定を行い、陽性であれば妊娠継続として診察へ進みます。

身体的負担が小さい反面、1回の治療における妊娠率は高くはないため、複数回の治療が必要になることもあります。

体外受精(IVF)の手順

体外受精(IVF)は、人工授精よりも高度な生殖医療です。
はじめに排卵誘発剤を使用して複数の卵子を育て、採卵日を決めて卵巣から卵子を取り出し、体外でドナーの精子と受精させてから子宮に戻します。

取り出した卵子を培養して受精卵に育て、子宮に戻してから着床を待ってホルモン補充療法などを行います。
人工授精よりも成功率が高い一方、身体的な負担や費用の問題も大きく、信頼のできる医療機関や医師に相談し、納得したうえで治療を受けることが大切です。

女性同士のカップルは「どちらの卵子を使うか」「どちらが妊娠するか」が選択できるため、希望に合わせた治療計画の策定も重要です。

【国内編】同性カップルが不妊治療を受ける際の病院選びのポイント

国内で同性カップルが不妊治療を受ける際の病院選びについて、3つのポイントをみていきましょう。

ポイント①治療を受け入れてくれるのかを確かめる

医療機関によっては、同性カップルを断るケースがあります。
同性カップルへの不妊治療に一定の実績があるかどうか、治療を受け入れているかを確かめましょう。

ポイント②生殖専門医が在籍する不妊治療専門の医療機関かどうかを確認する

生殖医療に精通した専門医が在籍していることを確認しましょう。
体外受精のように、同性カップルに多くみられる不妊治療に理解のある医師であれば、治療の相談から手技の選択までスムーズに進められます。

ポイント③病院にアクセスしやすいかどうかをチェックする

不妊治療は一度で終わるものではなく、方法によっては頻繁に通院する必要があります。
病院の立地や通いやすさに加えて、交通費や駐車場の有無なども確認しておきたい部分です。

自宅からの距離に加えて、職場からのアクセス性や公共交通機関の本数・時間帯、医療機関側の診療時間や予約システムの使いやすさもチェックしておくと良いでしょう。

【海外編】同性カップルが不妊治療を受ける際の病院選びのステップ

海外で同性カップルが不妊治療を受けるときの病院選びについて、3つのステップを紹介します。

ステップ①同性カップルが不妊治療できる国を探す

海外で不妊治療を検討する際は、同性カップルへの生殖医療が合法であり、受け入れ実績のある国や地域を調べます。
人工授精・IVF・代理出産の可否とルールをチェックし、法律問題や費用、滞在期間についての最新情報を基に比較検討しましょう。

ステップ②医療機関を探す

治療を受ける場所を絞ったら、実績のある医療機関を探します。
公式サイトと連絡先の確認、口コミや成功率、ドナー精子・卵子の提供体制、医師の専門性や日本の医療機関との連携などについて確認しましょう。

同性カップル向けの治療経験が豊富であれば、現地での治療や法的な手続きもスムーズです。
英語での対応や日本語のサポートが受けられるかどうかも判断材料になります。

ステップ③海外の医療観光代理店に相談する

海外での不妊治療は、言語や滞在場所、渡航の準備から移動や宿泊の手配、契約の締結といった複雑なステップが多いため、医療観光代理店に相談を行いましょう。

信頼のできる代理店は、治療先の紹介に加えて予約や渡航の手続き、現地での通訳やアフターフォローのサポートを行っています。

不妊治療を始めるにあたって検討すべきこと

不妊治療を始めるにあたって検討すべき3つのポイントをみていきましょう。

どちらが赤ちゃんを身ごもるのか

女性同士のカップルは、どちらが妊娠・出産を担当するかについて話し合う必要があります。
お互いの年齢や健康状態、家庭や仕事との両立、将来の希望も踏まえて、無理のないように計画しましょう。

ドナーの選定について

精子や卵子のドナーは、遺伝的背景や健康状態、匿名性の有無を慎重に検討する必要があります。
子どもが将来ドナーに関する情報を求める可能性もあるため、信頼できる提供元を選ぶことが重要です。

どこで治療するのか

国内と海外のどちらで治療を行うか、費用や滞在期間、法律的なリスクなどを踏まえて検討しましょう。
アクセスのしやすさやサポート体制も含めて総合的に判断することが大切です。

同性カップルが子どもを授かる方法は複数から選べる

今回は、同性カップルが不妊治療を受けられるかどうか、不妊治療の種類や検討すべきポイントも詳しく紹介しました。

近年では多様な家族のあり方への理解が進んだため、同性カップルでも里親や不妊治療を受けられるケースが増えています。
不妊治療や養子縁組、里親制度など、利用する方法によって必要な手続きや条件は異なります。

自分たちに合った方法を選ぶためにも、制度の内容や費用、法律面の注意点をよく理解し、専門家と相談しながら進めていくことが大切です。

 

また、妊娠や将来の家族づくりを考えるなら、20代のような若い時期のほうが選択肢が広がりやすく、将来に向けて準備を進めやすいというメリットもあります。

早めに情報を集め、制度の内容や費用、法律面の注意点を理解しながら、専門家と一緒に自分たちに合った方法を選んでいくことも重要です。

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