不妊治療が増加していくに連れて、精子提供による不妊治療への関心も高まっています。
この記事では精子提供を伴う人工授精・体外受精の費用や、治療の流れについてご紹介します。
精子提供による不妊治療の基礎知識
精子提供による不妊治療には、AIDとIVF-Dの2つの方法があります。
AIDとは
AIDとは「非配偶者間人工授精」のことで、「Artificial Insemination with Donor’s semen」または「 Artificial Insemination by Donor」の略称です。
基本的には、日本の戸籍において法的に婚姻関係にある夫婦で、精子の提供を受けなければ妊娠できない医学上の理由がある場合のみ認められています。
夫以外の第三者から提供を受けた精子を妻の子宮内に注入することで、妊娠を図る方法です。
AID以外の方法では妊娠が不可能と医学的に判断された場合にも、特例として認められる場合があります。
AIDの手順は以下の通りです。
【AIDの手順】
- 精子提供者の凍結精子を融解する(提供された精子は感染症対策で冷凍保存されているため)
- 精子を洗浄・濃縮する
- 子宮の入口から管を入れて、洗浄・濃縮した精子を直接子宮内へ注入する
なお、AIDはAIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群のこと)と混同されやすいため、DI(Donor Insemination)と呼ばれることもあります。
IVF-Dとは
IVF-Dとは「非配偶者間体外受精」のことで、「In Vitro Fertilization-Donor」の略称です。
日本の戸籍において法的に婚姻関係にある夫婦で、精子の提供を受けなければ妊娠できない医学上の理由がある場合に受けられます。
妻の卵子による子どもをもつために夫以外の第三者からの提供精子を用いて、体外受精・顕微授精を行います。
卵巣から卵子を採取して、体外で提供精子と受精させたのちに再び女性の体内に戻します。
IVF-Dは、妻側に加齢以外を原因とする体外受精を受ける医学上の理由がある必要があるため、症例はあまり多くありません。
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病院以外で精子提供を受ける手段
精子提供者は、健康上、遺伝上問題のないことが求められ、さまざまな検査をクリアした人だけが精子提供者になれます。
また、ひとりの精子提供者からの子どもは10人までという日本産婦人科学会の取り決めもあります。
その一方で不妊治療を受ける患者は増えていて、精子提供者は常に足りない状況で、中にはAIDを取りやめる病院もあるほどです。
そんな状況下で、病院以外で精子提供を受ける手段はあるのでしょうか。
精子バンク
精子バンクとは、精子提供者から採取した精子を凍結し、その保管や管理を行う機関です。
病院での精子提供と同様に厳しい基準で精子提供者の選別、提供された精子の管理を行っています。しかし、近年精子提供者は減少傾向にあり、思うように提供が受けられないケースもあります。
関連記事:精子バンクとは?メリットや選び方について
親族や知人から
「遺伝的に少しでも父親に近い人物を」という考えで、精子提供者に親族を選ぶ人も少なくありません。
また、「素性の知れた人を」という考えから知人を選ぶ人もいます。
しかし、日本産婦人科学会の指針では精子提供者は「匿名の第三者」となっており、親族や知人から提供された精子を使って不妊治療をする医療機関は少ないです。
SNSを通じて
近年、SNSを通じての精子提供が増えています。
日本産婦人科学会では、さまざまな条件を満たした法的に婚姻関係のある夫婦間のみに精子提供を伴う不妊治療を認めています。
その一方で、昨今では家族観も多様化し、自分たちの子どもを持ちたいと考えるセクシャルマイノリティのカップルや、特定のパートナーを持つ予定や婚姻関係を結ぶ予定はないが、子どもが欲しいと考える選択的シングルマザーなどが、妊娠するために精子提供を求めるケースがあります。
病院や精子バンクを通して提供された精子は、きちんと検査を受け、感染症対策もなされた精子です。
しかし、SNSを介して提供される精子は個人間提供であり、採取した精液をそのままシリンジ法などで使用するため、感染症などのリスクにさらされることとなります。
さらには提供の条件をめぐってのちのち揉めてしまう可能性もあることから、おすすめできません。
当サイトを運営する「I LOVE BABY」では法人サービスとして、精子提供の厳格な審査を経た日本人ドナーの紹介や、妊娠治療を行うクリニックの紹介、そして精子提供プログラムを受ける方が安心して治療を受けられるためのサポートをしています。 まだ精子提供を受けると決めたわけではないけれども詳しいことを知りたいという方や、選択的シングルマザーなので不妊治療クリニックでのAIDの対象ではないという人もいらっしゃると思います。 |
精子提供の費用
料金は精子バンクによっても異なりますが、世界的に広く精子バンク活動をしているCryosでは、人工授精用のドナー精子が治療1回分220ユーロ(約35,000円)から、体外受精用のドナー精子が治療1回分132ユーロ(約21,200円)から、顕微授精用のドナー精子が治療1回分100ユーロ(約16,000円)からとなっています。
それに加え、妊娠可能予約枠の費用が身元を開示していないドナーの場合で200ユーロ(約32,000円)、開示しているドナーの場合で350ユーロ(約56,000円)かかります。
さらに送料が648ユーロ(約103,680円)、お急ぎ便の場合には116ユーロ(約18,560円)が加算されます。
※1ユーロ:約160円(2024年2月時点)
SNSで精子提供を受けるリスク
病院で精子提供を受けるの大変そうだな、お金もかかるな、じゃあSNSで提供してもらえば安く上がるのでは、と考える人もいるかもしれません。
しかし、SNSを通じて精子提供を受けるのには以下のようなリスクがあります。
【SNSを通じた精子提供のリスク】
- 感染症
- 遺伝的疾患
- 経歴詐称
- 性暴力被害
SNSで精子提供を受ける際には、そのままシリンジ法などで使うことが大半のため、感染症のリスクがつきまといます。
遺伝的疾患についてもわかりません。
なかには学歴や職歴を詐称し、高く精液を売りつけようとする人や、精液の受け渡しと言って呼び出された密室で性暴力被害に遭うといったトラブルも少なくありません。
関連記事:精子提供をめぐるトラブルの実情と、『こうのとりあしながプロジェクト』の安全面について
ILOVEBABYでは、厳格な審査を経た心身ともに健康なドナーしか紹介していません。
また、選択的シングルマザー希望など、病院での精子提供を受けられる基準を満たしていない方にもご紹介できます。
費用にとらわれず安心な精子提供を
精子提供を伴う不妊治療では、費用がかさみがちです。しかし、安心安全を維持するための費用や、きちんと子供が生まれた後家族として向き合っていける姿勢を作るサポートも含まれていると考えれば、納得できるのではないでしょうか。
I LOVE BABYでは無料で信頼できるドナーを紹介しています。精子提供でお悩みでしたら、ぜひ一度I LOVE BABYにご相談ください。
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